2012年5月8日火曜日

醤油 - Wikipedia


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本来の表記は「醬油」です。この記事に付けられた題名は記事名の制約から不正確なものとなっています。

醤油醬油、しょうゆ)は、主に穀物を原料とし、醸造技術により発酵させて製造する液体調味料であり、日本料理における基本的な調味料の一つとなっている。「醤油」の名のついた調味料は東アジア各国の民族料理にも広く使用されているが、それぞれの文化によって材料など製法が異なる。以下は主に日本の醤油について記述する。

日本の醤油は独自の発展を経て明治時代の中期に完成を見た。日本の醤油は大豆、小麦、塩を原料とし、麹菌、乳酸菌、酵母による複雑な発酵過程を経て生成され、その過程でアルコールやバニリン等の香気成分による香り、大豆由来のアミノ酸によるうまみ、同じく大豆由来のメチオノールによる消臭作用と、小麦由来の糖による甘みを持つ。なお、醤油の赤褐色の色調は、主にメイラード反応によるものである。

醤油は日本料理の調理で煮物の味付けに使用したり、汁やたれのベースにしたり利用範囲が広い。また醤油差しに入れられて食卓に供され、料理にかけたり少量を浸す「つけ・かけ」用途にも使われる。天ぷら、江戸前寿司、蕎麦など、日本の食文化の基本となっている調味料である。ほとんどの場合(8割)は濃口醤油が使用されそれが醤油の代表となっているが、他の醤油も使用されている(後述)。

「しょうゆ」という語は15世紀ごろから用例が現れる。文明6年(1474年)成立の古辞書『文明本節用集』に、「漿醤」に「シヤウユ」と読み仮名が振られているのが文献上の初出である。漢字表記の「醤油」は和製漢語で、上記「漿醤」から約100年後の『多聞院日記』永禄11年(1568年)10月25日 (旧暦)の条に初めて登場する。しかし『鹿苑日録』天文5年(1536年)6月27日 (旧暦)条には「漿油」と表記されており、「シヤウユ」の漢字表記はこちらの方が古い可能性が高い。また、初期には「醤油」の「油」を漢音読みして「シヤウユウ」と発音されることもあった[1]

の漢字が常用漢字に含まれていないことから、当て字にを用いて正油と書く事がある[2]。調味料を料理に用いる順番を表す語呂合わせの「さしすせそ」で、醤油は「せうゆ」として「せ」に割り当てられているが、歴史的仮名遣では「しやうゆ」と書くのが正しい。ただし「せうゆ」という仮名遣も、いわゆる許容仮名遣として広く行われていた。醤油の別名、したじは吸い物の下地の意から、むらさきの別名の語源は諸説あり、醤油の色から来た女房詞、または江戸時代に筑波山麓で醤油が多産されたことからとも言われる。

英語: soy sauce 、 英語: soybean (大豆)に含まれる soy(-) は、日本語「しょうゆ」がスペイン語: 経由で伝わったものである。

[編集] 醤油の起源

醤油のルーツは醤(ひしお)であるとされている[2]。醤は、広義には「食品の塩漬け」のことを指す。紀元前8世紀頃の『周礼』で、「醤」という漢字が初めて使われた。文献上で日本の「醤」の歴史をたどると、701年(大宝元年)の『大宝律令』には、醤を扱う「主醤」という官職名が見える。また923年(延長元年)公布の『延喜式』には大豆3石から醤1石5斗が得られることが記されており、この時代、京都には醤を製造・販売する者がいたことが分かっている。また『和名抄』では、「醢」の項目にて「肉比志保」「之々比之保」(ししひしほ)についてふれており、「醤」の項目では豆を使って作る「豆醢」についても解説している。

[編集] たまり醤油の誕生

「たまり」が文献上に初出したのは1603年(慶長8年)に刊行された『日葡辞書』で、同書には「Tamari. Miso(味噌)から取る、非常においしい液体で、食物の調理に用いられるもの」との記述がある。また「醤油」の別名とされている「スタテ(簀立)」の記述が同書に存在し、1548年(天文17年)成立の古辞書『運歩色葉集』にも「簀立 スタテ 味噌汁立簀取之也」と記されている。

醤油の発祥・起源説は各種あり定かではない。

鎌倉時代の僧によって偶然できた説
醤油メーカーのヤマサ醤油によれば、醤油の元となるものを作ったのは、鎌倉時代、紀州由良(現在の和歌山県日高郡)の興国寺の僧であった心地覚心(法燈円明國師)であり、覚心が中国で覚えた径山寺味噌(金山寺味噌)の製法を紀州湯浅の村民に教えている時に、仕込みを間違えて偶然出来上がったものが、今の「たまり醤油」に似た醤油の原型だとしている[3]
金山寺味噌を由来とする説
伝承によれば13世紀頃、南宋鎮江(現中国江蘇省鎮江市)の径山寺で作られていた、刻んだ野菜を味噌につけ込む金山寺味噌の製法を、紀州(和歌山県)の由良興国寺の開祖法燈円明國師(ほうとうえんめいこくし)が日本に伝え、湯浅周辺で金山寺味噌作りが広まった。この味噌の溜(たまり)を調味料としたものが、現代につながるたまり醤油の原型とされる[4]。ただし、この伝承を裏付ける史料は見つかっていない。
斉民要術発祥説
500年頃の中国の『斉民要術』に現代の日本の醤油に似た醤の製造法が記述されていて、麹を用いた発酵食品は5 - 6世紀頃には中国などのアジア地域で製造されており、これが元だとする説がある。

[編集] 17世紀の日本国外輸出

日本国外への醤油の輸出は1647年にオランダ東インド会社によって開始された。伝承によればルイ14世の宮廷料理でも使われたという。フランスでの日本産醤油に関する記述は、『百科全書』(1765年)に現れる。当時の記録によると腐敗防止のために、醤油を一旦沸騰させて陶器に詰めて歴青で密封したという。用いられたビンは「コンプラ瓶」と呼ばれた陶器の瓶であり、多数が現存する。

[編集] 濃口醤油・淡口醤油の登場

江戸時代初期までは、日本の醤油の主流はたまり醤油で、主な産地は上記の湯浅に代表される近畿と讃岐(引田、小豆島)に集中していた。しかし、たまり醤油は製造開始から出荷まで3年かかり、生産量が需要に追いつかなかった。

1640年代頃、寛永年間、巨大な人口を抱えて醤油の一大消費地となっていた 江戸近辺において、1年で製造できる「こいくち醤油」が考案された。また1666年(寛文6年)には、現在の兵庫県たつの市で円尾孫右衛門長徳が「うすくち醤油」を考案したと言われている。

[編集] 明治以降の醤油

幕末の1864年(元治元年)、物価高に悩んだ幕府が市場に値下げ令を発した際、商品の品質保持を理由に銚子と野田の7銘柄は「最上醤油」の名称で従来価格で販売する許可を得た。

明治時代初期では醤油産業自体、手工業的要素が強かったが、1882年(明治15年)以降に醤油の理科学的な手法の研究進歩に伴い、醸造技術及び企業形態の近代化が徐々に進んでいった[5]

明治政府は醤油が生活必需品である事に目をつけ「醤油税」を創設。大正時代になるまで続いた。

ヨーロッパでの醤油販売は貴族の没落と安価な中国産・東南アジア産の醤油に押され、二度の世界大戦で販路を失って下火になった。

第一次世界大戦が由来する好況の影響で、1918年(大正7年)頃には設備の近代化に拍車をかけ、企業の合同も行われたことなどから、醤油は近代的な大量生産体制に移行していった[5]

第二次世界大戦前後に深刻化した食糧難に伴い主原料の大豆が確保出来ず、日本の醤油製造は危機的状況に陥り、生産方針も質の向上より量の確保が先決であったため本醸造製法の醤油は僅かな量しか作られず、その代用品として「アミノ酸醤油」が主流の時代を迎えた[5]。終戦後、連合国軍最高司令官総司令部が醤油の重要性を理解せず、大豆を酸で加水分解した方が効率良く製造できるとの指導を行ったとされ、苦肉の策として大豆の加水分解液を醤油に利用する方法が導入され、戦後しばらくの間はこうした醤油造りが続いた。1950年(昭和25年)、配給公団の廃止と価格統制の撤廃により、自由販売が認められたことで食糧事情の回復進展とともに、再び質の向上を目指した本醸造醤油造りが復活し[5]、以降アミノ分解法等の製法が用いられることはほとんどなくなった。


フロイントは共存でき

[編集] 20世紀後半以降

減塩食の流行や食事の欧米化に伴い、1980年代以降日本人1人当たりの醤油の消費量は減少傾向にある[6]

一方、日本において醤油を原材料とした調味料、めんつゆやたれの需要・消費量が伸びていることから、醤油出荷量の割合において1980年代に業務・加工用が家庭用を上回っており、世帯当たり支出金額では1990年代にめんつゆ・たれの購買額が醤油の購買額を上回っている[6]。2000年代では、家事の負担軽減化を求める傾向や食に対して簡便性の高さを求める傾向からめんつゆやたれの普及が進み[6]、料理の味付けにおいて醤油よりもめんつゆやたれを中心に使用する家庭が増加している[7]

醤油の輸出量は、日本人海外渡航者数の増加や日本国外における健康食としての日本食の流行などにより増加していった。こうした状況を受け、キッコーマンは1957年(昭和32年)にアメリカ合衆国に進出、製造工場を建設するなど、醤油は国際的な調味料として愛好されている。

野田の醤油醸造も参照のこと。

[編集] 日本における様々な醤油

[編集] 醤油の主な種類

日本の醤油には長い歴史があり、各地で独自の風味や味わいを持つ醤油が開発されてきた。日本農林規格(JAS)では、製造方法、原料、特徴などから、「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種類に分類されている。そして醤油は「しようゆ」と表記されている。

こいくち(濃口)
最も一般的な醤油であり、醤油の生産高の約9割を占め、通常、単に「醤油」というとこれを指す。江戸時代初期の関東地方で発祥し、江戸料理の調味料として発達した。醤油特有の香りが高く、うすくちとたまりの中間的な色を持つ。全国的に最も一般的な醤油であり、食堂にある醤油は、まずこれと思ってよい。様々な料理の味付けに使われ、色付け・香り付けにも使われる。原料の大豆と小麦の比率は半々程度である。北海道から沖縄まで各地で生産されるが、関東地方における生産量が特に多い。特に有名な産地として、利根川の水運が利用できた千葉県の野田市や銚子市、最適な気候・風土の香川県小豆島がある。
うすくち(淡口)
この「うすくち」は「うすあじ」なのではなく、濃口に比べると色や香りが薄く、塩分濃度はむしろ高い。他の醤油に比べて、酸味・うま味・甘味など、塩味以外の味も薄めであり、塩味を強く感じる。1666年(寛文6年)に龍野の円尾孫右衛門長徳が考案したとされる。濃口よりも原料の麦を浅く炒り、酒を加えるのが特徴。元々は龍野でのみ消費されていたが、18世紀半ばに京都への出荷が本格化。以降、関西地方で多用されるようになった。関西の料理は昆布出汁を多用するので醤油の本来の素材の味を引き出すちからよりも食材の色や風味を生かすことに適した薄口醤油が使われることになった。汁物、煮物、うどんつゆなどに好んで使われる。仕込み時に、麹の量を少なく、仕込み塩水の比率を高くする。圧搾前に甘酒を加える� �ともある。淡口は色が最重要視されることから、酸化して黒みが出たものは価値が低い。そのため、こいくちよりも賞味期限が短くなる。関西を中心に使用されている。
たまり(溜り)
上述の通り、江戸時代初期までの醤油の主流。とろりとしており、うまみ、風味、色ともに濃厚。刺身につけたり、照焼きのタレなどに向く。味噌を絞ってその液体部分だけを抽出したもの。原料は大豆が中心で、小麦は使わないか使っても少量。つまり豆味噌を絞ったものが中心である。しかしながら現在では、製法としては普通の醤油(濃口醤油)と同じで、単に小麦を使わないか少量しか使わないものをたまりと称することも多い。豆味噌と同様に東海3県が主産地である。
さいしこみ(再仕込み)
さしみ醤油・甘露醤油とも呼ばれる、風味、色ともに濃厚なもの。天明年間に周防国の柳井で考案されたと伝えられる。仕込工程にて、塩水のかわりに生醤油や醤油を用いて造る。一般的には淡口醤油の諸味が用いられる。刺身、寿司などに向く。
しろ(白)
色は薄く、醤油というよりナンプラーのような色をしている。味は塩分が強く、少し甘みを含む。煮物に向く。原料は大豆が少なく、あるいは全く使わず、小麦が中心である。つまり上述のたまりと逆と思えばよい。色の淡さが特に重要なため、淡口よりさらに賞味期限が短くなる。原産地は愛知県碧南市であるが、近年は関東など他地域でも生産されている。
減塩しょうゆ・うす塩しょうゆ
塩分の割合を通常の醤油より減らしたもの。減塩しょうゆは高血圧や心臓病、腎臓病などの人を対象に、厚生労働省の「特別用途食品」(低ナトリウム食品)に指定され、塩分は9%で通常の醤油の半分程度。うす塩しょうゆの塩分は13%で通常の醤油の8割程度。製造方法は、醤油からイオン交換法で塩分を除去する方法と、濃厚に造った醤油を希釈する方法の2通りがある。製品のラベルを見れば、醸造酢または酸味料が添加されている製品が多いことがわかる。
昆布しょうゆ、刺身しょうゆ、だししょうゆ、土佐しょうゆ等
醤油を原料に、昆布だしやカツオだし、液糖やステビア等の甘味料を添加し、うまみを強化した液体調味料。公的な基準はないため、同じ「刺身しょうゆ」でもメーカーごとに風合いは異なっている。

[編集] 地域性

醤油は長い歴史の中で、地方ごとの食文化に適したものが好まれ、作られてきたため、地方ごとに物性面・官能面の傾向が異なる。このような醤油の地方性は、地方の食文化と密接に関連したものであり、歴史が関係している。

[編集] 東北日本(甲信越静岡から東側)

関東東北をはじめとする東北日本では、もっぱら濃口醤油を使うことが多い。そのため、濃口醤油の品質に対する要求が厳しくなった結果、中間的な澄んだ色調で香り高く、旨味に富んだ濃口醤油が発達した。濃口醤油をベースとした蕎麦つゆ[8]や割下が、鍋物やつけ汁としてよく使われる。今日日本料理の代表とされる蕎麦、天ぷら、鰻の蒲焼、握り寿司は、濃口醤油が作り上げた、東日本発祥の食文化である。ダシは濃口醤油に負けないように「削り節」を多く使用する。

江戸は参勤交代や地方からの出稼ぎの人により、人と共に食文化の交流が多彩となっており、料理や店によっては薄口しょうゆも使用される。地域によっては秋田のしょっつる、伊豆諸島のくさや汁のような、魚醤を利用する文化がある。1770年頃より、「地回り醤油」と呼ばれる関東産濃口醤油が上方からの下りものを凌駕し醤油の代表となった[9]。小麦の名産地が多く気候が良い事から常陸・下総・上総・相模で醤油作りが盛んとなり、銚子と野田[9]には江戸時代初期に遡る老舗醤油ブランドが多い。今でも関東地方は日本における醤油生産量が最も多く、キッコーマン、ヤマサ醤油、ヒゲタ醤油、正田醤油など全国的によく知られたメーカーがある。

[編集] 西南日本(愛知岐阜および富山から西側)

淡口醤油だけではなく、濃口醤油も多く使用する。複数の種類の醤油のその物性にメリハリが大きいケースが多い。例えば、濃口醤油は色が一般的に濃い一方、淡口醤油の色は極めて淡い。煮物や吸い物の味付けには淡口を用い、出汁の風合いを壊さないよう調味するのが一般である。


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近畿地方および中国・四国地方
この地方は、淡口醤油発祥の地でもあり、醤油の使い分けの伝統が極めて強い。煮物や吸い物用には淡口醤油または白醤油を用いて、食材の色と出汁の風合いを壊さないように調理することが良いとされる一方、刺身用をはじめとするつけ・かけ醤油については、濃口醤油(またはたまり醤油)が使われる。とりわけ煮物・吸い物用の淡口醤油の需要が高く、俗に言われる「関西の薄味」の要素となっている。西日本に知られた淡口醤油中心の有名なメーカーとして、ヒガシマル醤油、マルキン忠勇などがある。
一方で、和歌山県では古くから濃い口醤油が主流となっている。由良町の興国寺で発見された「たまり」と呼ばれる醢の抽出物が国産醤油の元祖と伝えられ、有田郡湯浅町や周辺市町村、御坊市を中心に醤油蔵が数多く見られ、現在も中小の醤油蔵が県内に20数件点在する。この和歌山の濃い口醤油の技法が、銚子や野田などの一大産地に伝えられたとされている(ヤマサ醤油創業者の濱口儀兵衛は有田郡広川町の出身である)。
東海(中京)地方
愛知県・岐阜県・三重県までが、一般家庭で醤油を使い分ける地域の東限である。この地方を特徴付けるのは濃厚な味わいを持つたまり醤油であり、豆味噌文化と深い関係がある。他方、前述の碧南市のように白醤油の生産が多い地域もある。このことから、煮物・吸い物用を含む一般的用途に、関東風の濃口醤油を用い、刺身などのかけ・つけ醤油としてたまり醤油を用いる家庭と、煮物・吸い物用には特に関西風の白醤油を用い、その他の用途には広くたまり醤油を用いる家庭がある。濃厚な味わいを好むところから、一般向け醤油には、みりんが添加されていることもある。ヤマシン醤油、イチビキ、サンビシ、盛田、サンジルシ醸造、日東醸造、ヤマミ醸造などのメーカーがある。
北陸地方(福井・石川・富山)
この地方も、東北日本と比べれば旨みの強い濃厚な味わいを、近畿以西と比べると塩分の強い濃い味を好む傾向がある。この要求を満たすために混合醸造方式の比率が高く、九州ほどではないが甘みの強い醤油が多く出回っている。他方、濃口醤油の色は必ずしも濃くない(関東の濃口と関西の淡口の中間といえる)。他方、上方の影響から淡口醤油も使用される。飯田醤油、直源醤油、ヤマト醤油味噌、富士菊醤油などのメーカーがある。

[編集] 九州以南 

この地域では、近畿とも関東とも異なる醤油の利用文化が見られる。

九州
九州では、長崎貿易で砂糖が比較的豊富に手に入った伝統から、醤油にも甘味を求める傾向が強い。混合醸造方式の比率が高く、糖分やうまみ成分などが多めに添加され、甘みが目立つ醤油が広く好まれる。濃口醤油でも、関東地方のものに比べて色は黒く、最初に感じる香りの弱い(関東の濃口と比較して「鼻にツンと来ない」と評される)、色や香りに濃厚な風合いが好まれる傾向にある。また、甘みやうまみを多く添加したどろっとした風合いの「さしみ醤油」も使用される。この「さしみ醤油」は、特に脂が多い刺身への「のり」が良いという特徴がある。フンドーキン醤油やニビシ醤油、富士甚醤油、チョーコー醤油、などのメーカーがある。
沖縄
沖縄では、古来、うま味を得るためには昆布と魚や豚の出汁を利用することが多く、調味料は味噌や塩が主流で、醤油はかつて高級品扱いであった[10]。戦後、食文化の変化に伴い、醤油も一般的に用いられるようになった[10]
沖縄で販売されているものはキッコーマンやヤマサ醤油等、他県産のものが多い。県内には赤マルソウ等、小規模な生産者がある。材料にシークヮーサーを用いた醤油も、沖縄では知られた調味料の一つとなっている[11]

[編集] 日本国外の醤油

[編集] 日本の醤油の普及

健康食として日本食が世界各地で好まれるようになってから、醤油を世界各地で手にいれることが出来るようになった。醤油は現在発展途上国を中心に100カ国以上の国に輸出されており、生産は年14万キロリットルにも達する。大手メーカーでは現地生産も行っている。

[編集] 醤油に類似する調味料

アジアの他の国々にも醤油に似た調味料が存在する。英語では産地や種類にかかわらず "Soy sauce" と呼ばれている。

醤油(中国)
大豆を発酵させた「豆醤」は早くも前漢時代に文献に記述が現れているが、現代でも「醤油 jiàngyóu」は中華料理の調味料として普遍的に使用される。日本の中華料理レシピ本では単に「しょうゆ」とのみ記述され、日本の醤油で代用する場合がほとんどである。中国料理における醤油の用途は、香りや味より色づけに重点を置いているため、色調は濃い。カラメル等を加え、どろっとしてマイルドな「老抽」、塩が立って色が淡めの「生抽」がある。
蔭油(台湾)
醤油は原材料に大豆のほか小麦や塩を加えているが、日本統治時代より前の台湾では「蔭油」が製造されていた。蔭油は黒豆など原材料の豆に塩をまぜて自然発酵させたもので、小麦やもろみは使用しない[12]。台湾の蔭油は閩南地方(中国福建省南部)伝統のものだが、現在は台湾の一部でつくられているものの[13]、台湾でも中国大陸でもこの製法をほとんど行わなくなった。
カンジャン(韓国)
韓国では「カンジャン」(간장、「塩辛い醤」の意)と呼ばれる醤油がある。カンジャンも、日本の醤油と比較して色調が黒めで、主に他の調味料とブレンドし、ヤンニョムとして利用することが多い。また、日本と同様に刺身に「つけ・かけ」用途でも用いる。
ケチャップマニスとケチャップアシン(インドネシア/マレーシア)
インドネシアやマレーシアでも、歴史的に大豆を原料とした液体調味料が使われている。代表的なものとして「ケチャップマニス」(Kecap manis, manis=「甘い」)、「ケチャップアシン」(Kecap asin, asin=「塩辛い」)が用いられている。ケチャップマニスは、物性的には、色調が黒く、甘辛くどろっとした調味料である。ケチャップアシンは、比較的色が薄く、塩が立つさっぱりした調味料である。
シーユー(タイ)
タイでは一般的に魚醤である「ナムプラー(ナンプラー)」がよく使われているが、大豆から作られた醤油「シーユー」も、炒め物の味付けなどに使われる。甘味がある「シーユー・ダム」と、辛口の「シーユー・カオ」が一般的。
ショーユ(ハワイ)
かつて日本人が多く移民し、現在も日系人が多数在住しているハワイでも独自の醤油が生産されている。日本の醤油の系統に属する味ではあるが、大豆の風味が薄くさらっとした塩味になっている点が特徴である。メーカーとして1946年創業のアロハ醤油がある。

[編集] 醤油の製造法

[編集] 基本的な製造法(本醸造・こいくちしょうゆ)

現在、国内で生産されている醤油の大半が本醸造であり、また濃口が大半を占める。「本醸造」の条件は、大豆、麦、米等の穀物を蒸煮し、麹菌を用いて作成した麹に、塩水または生揚げを混合して発酵・熟成させたものを指す。麹に、蒸した米や甘酒を添加したり、分解を促進するための、セルラーゼ等の酵素を添加することも許されている。ただしプロテアーゼを除く[14]。JAS特級の条件には「本醸造であること」という項目も含まれているため、特級醤油であれば常に本醸造醤油である。

醤油製造は、以下の工程を経て行われる。


電気エネルギーはから製造することができる...
  • 原料工程
    大豆(または脱脂加工大豆)は浸水し、膨潤したところで圧力をかけて蒸煮する。小麦は焙煎し、割砕して荒い粉末状にする。加熱条件には留意する。これは、生の大豆タンパク質が最終工程に残ると製品(加熱時)の濁りにつながり、小麦の生デンプンは、一般的な醤油酵母は資化できないためである。
  • 製造工程
    1. 製麹(せいきく)工程: 蒸煮大豆と割砕小麦を約1:1で混合したものに種麹を加えて混ぜ、高湿度下で3・4日程度培養を行い醤油麹を作る。麹菌には、主にショウユコウジカビ用いられ、ニホンコウジカビが使用されることもある。
    2. 仕込工程(前期): 醤油麹に塩水を加え、麹の塊を崩して混合しながら醸造タンクに移送することを「仕込工程」と呼び、麹と塩水の混合物を諸味と呼ぶ。麹由来の酵素により蛋白質はアミノ酸に、デンプン質は糖に分解される。
    3. 仕込工程(中期): 諸味内にて微生物による発酵が起きる。まずは乳酸菌(Tetragenococcus halophilus)により乳酸が作られ、諸味全体が酸性に傾く。次に、酵母(Zygosaccharomyces rouxii)により、アルコール発酵が起きる。醤油の香りの成分の多くはこの工程で発生する。
    4. 仕込工程(後期): 「後熟工程」とも呼ばれ、味・香を熟成させる工程。活発な発酵は行われず、アミノグリコシド反応等の、比較的静かな反応が続く。この時期にはCandida属酵母による香気成分の生成が行われる。淡口醤油の場合、仕込工程の末期に甘酒や米麹を添加することがある。
    5. 圧搾工程: ナイロン等丈夫な素材で作られた「圧搾布」に諸味を包んで加重し、固体と液体を分離する。液体が「生醤油」、固体が「醤油粕」である。この際、主に大豆由来の油脂が分離して液面に浮かぶ。これを「醤油油(しょうゆあぶら)」と呼ぶ。醤油油は微生物による分解や酸化のため、食用油脂としての利用はできない。また、醤油粕も利用価値が低いことから、メーカーは処分に苦慮することが多い。
    6. 火入工程: 圧搾工程で得られた生醤油には、醸造工程で含まれた各種酵素などのタンパク質が多く含まれている。これを加熱すると、タンパク質は熱変性して不溶化し、沈殿する。また、製品に焦げた臭い(焦げ香)をつけ、微生物を殺す。一般的にはプレートヒーター等を用い、熱がかかりすぎないように留意する。熱履歴が高い場合は製品の色が黒色を呈し、焦げ香が強くなりすぎることになる。
    7. 清澄・濾過工程: 沈殿除去、珪藻土濾過や精密濾過などを用い、醤油に含まれる変性タンパク質など不溶性固形分を除去する。製品醤油の濁りは品質的には製品事故となる。ここで生醤油は、「火入醤油」と、沈殿分・濾過除去された分の「オリ」に分けられる。
    8. 詰工程: 火入醤油に適切な成分調整を加え、容器に詰めて製品とする。
原料としての大豆
醤油醸造では「脱脂加工大豆」が多く用いられる。脱脂加工大豆は、醸造用加工大豆と呼ばれることもあるが、一般的には大豆を原料にヘキサンを溶剤として油脂製造を行った際の副生産物(油粕)である。残留ヘキサンの毒性は神経毒のため、神経がない微生物による醤油醸造には影響がない。ヘキサンは油脂製造企業にとっては原価の一部であり、適切に回収されている。製品の一括表示内に原材料「大豆」と表示されているものは、無加工の大豆である丸大豆を使用していることを表し、脱脂加工大豆が使用されている場合は「脱脂加工大豆」と表示される。原料に丸大豆を使用する場合、仕込工程の説明のように、丸大豆には未処理の油脂が大量に含まれているため、これらの油分は仕込工程中に分離して、諸味の上に浮かんで 油脂の層を作る。
丸大豆醤油を支持する製造者は、
  • 「油脂の層により諸味の酸化が防げる」
  • 「油脂から分解されたグリセリンが風合いを変える」
等の主張がある。一方、分析および官能試験では有意な差がないという意見もあり「丸大豆だから美味しい」とは一概に言えず、議論が発生する。
酵素添加による速醸法
仕込工程初期に酵素剤を添加することで醸造期間を短縮する技術がある[15]。しかし、この場合は醤油業中央公正取引協議会の業界基準により、製品表示に「天然」「生」等の用語を利用することができない。

[編集] 混合醸造方式・混合方式

混合醸造方式、混合方式ともに、塩酸で原料処理を行い、水酸化ナトリウムで中和して得られたアミノ酸液を利用している。2004年(平成16年)のJAS(日本農林規格)の改正に伴い、旧名「新式醸造」のうち混合先が諸味のものが「混合醸造方式」となり、混合先が諸味ではなく生揚げ醤油なものと旧名「アミノ酸添加法」が「混合方式」と変更された。現在の醤油生産は、本醸造がその多くを占めるが、アミノ酸液には独特の香りと味があり、特にそれが好まれる地域において混合醸造・混合方式も残っている。

混合醸造方式
原料に塩酸を添加すると加水分解してアミノ酸液が得られる。これを水酸化ナトリウムで中和し、諸味とともに仕込み熟成を経る方法を「混合醸造」と呼ぶ。
混合方式
生揚げ醤油(諸味を絞った液)に、アミノ酸液を混合して製品とする手法。熟成の有無は問わない。

[編集] 添加物

保存料
醤油では一般的に、防黴効果の高い安息香酸ナトリウムまたはパラオキシ安息香酸ナトリウムを使用する。高付加価値商品では安息香酸を添加しない製品もある。
アルコール
保存料として安息香酸を利用しない場合、アルコールの防黴作用を利用することがある。アルコールを添加して防黴作用を持たせる場合は、安息香酸を添加した場合と比較し、品質保持期間は短くなる傾向にある。
甘味料
一般的に、甘草、ステビア、果糖ブドウ糖液糖、サッカリン等が使用される。塩の辛さをやわらげ、マイルドな味わいとなる。
カラメル
黒色を呈色させる場合に添加する。また、独特の甘さと香りも追加される。
調味料(アミノ酸等)
グルタミン酸ナトリウム、核酸系調味料を添加して、うまみを強化する場合がある。

[編集] 使用器具

かい棒
醤油や酒などを作る際、樽内をかき混ぜるために使用する棒のことを指す。

[編集] 販売形態

醤油はガラス瓶、ペットボトル容器、タレ瓶(主に弁当用の小型プラスチック容器)、プラスチック製パック(主に弁当用)などの形で販売されている。

卓上用の製品の場合、容器がそのまま卓上用の醤油入れとして用いることができるようになっているものもある。

[編集] 醤油の保存

醤油は塩分とアルコールを多く含んでいるので常温でも腐敗しにくい。ただし開封後は、極力酸素を避けて密封し、冷蔵保存することが望ましい。酸素存在下で放置すると、揮発性成分が揮発して香りが減少するほか、特に防黴剤として安息香酸が含まれない場合は、醤油液面に酵母(産膜酵母)が白く膜状に繁殖することがある。そのため醤油側に空気が入らなくても注げる容器がワインのBag-In-Box(略してBIB)を応用して商品化されている。

このような産膜酵母の実態は、醤油の主発酵酵母と同種のZygosaccharomyces rouxiiであり、いわゆる「醤油に生えるカビ」である。害は無いが香りは悪くなり、糖を消費するため味も劣化する。さらに、酸化によりメイラード反応が進み、色は黒くなる。

なお、醸造期間にも劣化は平行して進行するため、単純に「長期醸造」が高品質というわけではない。

[編集] 醤油メーカー

日本国内の醤油メーカーは、大正時代には1万社以上[16]、1980年代には2000社以上存在したが[17]、年々減少傾向であり、1990年代に2000社を切り[17]、2000年代中盤では約1500[17][18]〜1600社[16][19]程度となっている。

これは、醤油価格が低迷している上、大手メーカーの地方進出に加え、副製産物の廃棄コストや設備の維持費高騰のため、地方の零細・小規模メーカーが廃業を続けているためである。


商品としての醤油はコモディティ化が進んでおり、他の食品と比較して利益は一般的に低い。その一方で、年々、衛生面での要求は厳しくなり、廃棄物に対する規制は強くなっている。特に、エネルギーコストが必要な製麹工程、人的・場所的コストが必要で、醤油油や醤油粕などの廃棄コストが必要な仕込工程を省略し、全工程を独力で行わない製造者が増加している。製麹工程までを外部に依存するケース、仕込工程までを行わずに大手生産者より生醤油を購入し、火入・詰工程を行うケース、OEMやスーパー・生協などのプライベートブランドとして大手製造者に発注するケースがある。また、協業組合として複数の生産者が、製麹・仕込工程までを行う工場を作るケースもある。地方の中小メーカーの存在は、地域の食文化に密接� ��関係するもののため、文化保全の意味も含めて、「残って欲しい」と惜しまれている。

都道府県別では、キッコーマン(野田市)、ヤマサ、ヒゲタ(いずれも銚子市)等の大手が存在する千葉県が34%、ヒガシマル(たつの市)が存在する兵庫県が16%と上位2県で過半数を占めているが、日本各地に中小メーカーが存在する。

醤油メーカーの名称は縁起の良い「亀甲(きっこう)」に由来する「キッコー○○」、醤油・味噌が寺院で造られていたことにちなむ「ヤマ○○」の商標名が各地に多い。

[編集] 醤油の評価法

品質は「色」「香」「味」で評価される。高品質の醤油を製造するためには高い醸造技術・醸造管理・衛生管理・保存管理が必要となる。

醤油の色
醤油の「色」は熟成の期間や温度経過によって異なり、無色に近い淡褐色から、黒に近い暗赤褐色まで存在する。醤油はアミノ酸と糖に富むため、酸化や加熱、成分の揮発のほか、メイラード反応が進むことで産生されるメラノイジンにより色は濃くなる傾向にある。
一般的には淡色で赤い色調のものが良いとされ、製造/管理的に高度な技術が必要だが、地方性により、特に濃口醤油においてはむしろ色が濃いものが好まれる場合もある。
醤油の香り
醤油の「香」には、鼻で匂いをかぐときに感じる「トップノート」と、口に含んでから感じる「フレーバー」がある。香気成分の多くはアルコールをはじめとする酵母の発酵生産物であり、メイラード反応から、ストレッカー分解を経て産出される有機化合物、加熱工程にて産生される焦げ香も、醤油を特徴付ける重要な要素である。
醤油は長期保存によって酸化が進み、「劣化臭」といわれる臭いがつくこともある。また、製造工程における衛生管理の問題により、バクテリアによる腐敗臭や、味噌のような臭いがつくこともある。
醤油の味
醤油は、塩辛さ、うまみ、甘みを強く持つ。塩辛さは原料の塩から、うまみは主にアミノ酸、甘みは糖による。アミノ酸は、麹により産生されたプロテアーゼやアミラーゼ等の酵素によって大豆由来のタンパク質が分解されたもの、糖は同じく小麦由来のデンプンが分解されたものである。

[編集] 醤油の官能評価

「きき味」により、主に色・香・味が評価される。「色は淡色で赤みがある色調で、かつ香り高く、味が良い」醤油が良質とされる。

花のような甘い香りや爽やかに鼻に抜ける香が一般的に良しとされるが、製品によっては生乾きの雑巾のような臭い、汗のような臭いなど「悪い香」を呈するものもある。また、「麹の香」「味噌の香」「アルコールの臭」などの香りが加わっているものもある。

「よい香」とされる香も強すぎると問題となるため、それらのバランスにおいて製造者ごとに特徴が出る。

[編集] JASによる格付け

JAS(日本農林規格)では、醤油の品質基準に、含有する窒素分、無塩可溶性固形分(エキス分)、アルコールの量に従って格付けされている。 その中でもっとも重要とされるのが、「うま味」の指標となる全窒素分である。

  • 「標準」(濃口: 1.2%以上、淡口: 0.95%)
  • 「上級」(濃口: 1.35%以上、淡口: 1.05%)
  • 「特級」(濃口: 1.5%以上、淡口: 1.15%)

また、JASの他に日本醤油協会が定めている基準がある。

  • 「特選」: 特級の10%増し(濃口: 1.65%、淡口: 1.265%)
  • 「超特選」: 特級の20%増し(濃口: 1.8%、淡口: 1.38%)

また、醤油業中央公正取引協議会が定めるものとして、以下の表示を利用することができる。

  • 上級醤油は「上選」、「吟醸」、「優選」、「優良」
  • 特級醤油は「特吟」や「特製」
  • 日本醤油協会で言うところの「超特選」(特級の1.2倍)の場合、「濃厚」

[編集] 醤油と微生物

[編集] 麹菌

カビの中で、麹を作る際に用いられる菌が麹菌である。ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)および、ショウユコウジカビ(Aspergillus sojae)は、ともに醤油醸造に用いられているが、分類学的にはそれぞれAspergillus flavusAspergillus parasiticusと分類される。 Aspergillus flavus, Aspergillus parasiticusともに猛毒アフラトキシンを生産する、有毒なカビとして知られるが、産業的に用いられているAspergillus oryzaeおよびAspergillus sojaeは、醸造工程中でアフラトキシンを生産することはない。 下の研究の結果、麹菌のアフラトキシン生合成経路は機能していないことが明らかとなった。 麹菌のアフラトキシン生合成能は、天然の麹菌から良質の麹菌株を得た時、もとからアフラトキシン生合成能を持たない株を選抜したか、数百年にわたる選抜および育種の結果、アフラトキシン生産能が欠けてしまったものと考えられる。

[編集] 酵母

仕込中期にアルコール発酵を行う酵母を「主発酵酵母」と呼ぶ。過去、主発酵酵母は耐塩性のサッカロミセス属と分類されていたが、現在はZygosaccharomyces rouxiiと分類されている。古くなった醤油に生える白いカビも同種のもの。また、仕込後期に穏やかに香気成分を生産する酵母を「後熟酵母」と呼ぶ。Candida versatilis等、主にカンジダ属の酵母である。

[編集] 乳酸菌

過去、Pediococcus属の乳酸菌と考えられており、Pediococcus halophilusPediococcus sojaeと分類されていたが、DNA相同性による分類の結果、アンチョビやキムチから分離された耐塩性乳酸菌と同種であることが判明し、現在ではTetragenococcus halophilusと分類されている。

[編集] 醤油と日本料理

醤油は日本の料理には欠かせない調味料であるが、江戸時代における濃口醤油の発明はその後の日本料理の発展において重要な役割を果たした。握り寿司、蕎麦、蒲焼、天ぷらといった江戸で生まれた料理は濃口醤油の誕生なくしては存在していなかったと言っても過言ではない。今日の日本料理の代表となっている多くの江戸料理は濃口醤油と密接に関係している。

[編集] 醤油に関する諸説

醤油は人の髪の毛から作られている
日本では、大正時代から昭和初期と太平洋戦争終戦から数年間にかけ、物資不足解消のため、様々な原料から食品を製造する試みが行われていた。醤油原料としても様々な原料が検討され、それぞれ長所・短所がある独特の製品が作られた。これを代用醤油と呼ぶ。原料としては、魚介類や海藻、カイコの蛹、鯨ひげ[20]などが用いられた。製造法の代表的なものとして、タンパク質原料を加水分解したものを中和したアミノ酸液を得るものである。また、廃毛髪[21]や、牛の血液を用いたという俗説もある。
現在の日本でも、都市伝説として、醤油の原料に人毛由来のアミノ酸が使われているという噂があるが、現在ではキャリーオーバーを除きJAS法や品質表示基準によって植物性たん白質の使用しか認められておらず、髪の毛のような動物性たん白質の使用は禁止されている。また、現在の日本において、法的には毛髪由来のアミノ酸を原料とした場合、それを「しょうゆ」と呼ぶことはできない。コスト面においては、毛髪収集に必要なコストは大半が人件費であり、脱脂加工大豆の購入価格がそれよりも大幅に安いため、毛髪からアミノ酸を生産するのは非経済的である。また、味も非常に悪いため、素人が興味本位で作ることはあっても、一般に出回ることはまず考えられない。なお、中国では一部業者によりアミノ酸の基準量を満たす 目的で人毛由来のアミノ酸を添加した醤油が製造されているとの報道が2004年1月にあったため、中国政府によって人毛を原料とする醤油の製造が禁じられた。
醤油を飲めば兵隊に取られない
かつて徴兵制度が実施されていた時代に、検査の前日に大量の醤油を飲むことによって体調を崩し不合格となるといったことが、兵役を逃れる目的で実際に行われていたとされる。醤油は高濃度の塩分を含む液体のため、一時に大量を摂取すれば腎機能や肝機能の検査値に異常をきたすことは確実だが、こうした無茶な行為によって不可逆的な疾病を患ったり、急性症状によって死に至る例もあったと伝えられている。徴兵制度導入初期には免役率が80%以上と高く、徴兵される場合のほうが不運と考えられたため、このような徴兵逃れ行為が横行したが、その後の改訂で国民皆兵が義務づけられ免役率が下がると、むしろ免役されるほうが不名誉と考えられるようになり、徴兵逃れ行為は下火となった。
醤油を使うとガンになる
昭和40年代に広まっていた俗説。はっきりとした根拠は不明だが、麹菌がアフラトキシンを生産する、という噂が一人歩きしたものに、「大量に醤油を摂取した場合には塩分の過剰摂取による体調不良が起きる」ことが付与されて作られた俗説と考えられる。
大手メーカーは2週間で醤油を作っている
本醸造醤油の場合は、混合醸造方式・混合方式を利用することができないため、理論的に2週間では不可能と言ってよい。仕込み開始から2週間、比較的高温で推移させた場合は、麹菌の酵素により諸味は一応液化するが、微生物による発酵過程を経ないため、香りは立たず、色は黒く、歩留まりは悪くなると思われる。また、先に挙げた酵素添加による速醸法を用いることで、1ヶ月程度に醸造期間を短縮することができる。しかし醤油醸造は酵素反応で原料が分解されれば終了という単純なものではなく、広く使われてはいない。

[編集] 博物館施設

[編集] 参考文献・リンク

[編集] 関連項目

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